Interview 04 自然環境保全と開発事業の
バランス感を持った技術者へ。幅広い知識を身につけるために日々勉強中!

池野 昂貴 / IKENO KOUKI

2014年新卒入社
所属:電源開発グループ地熱環境部 係長

※掲載内容は取材当時のものです

所属:電源開発グループ地熱環境部

Profile

池野 昂貴

千葉工業大学大学院を卒業後、2014年にシン・エナジーに新卒入社。現在は電源開発グループ地熱環境部に所属。岐阜県高山市奥飛騨温泉郷を中心に地熱発電事業の資源調査、地元住民との調整、合意形成に従事。また同地域で水力発電事業部が行っている事業の環境調査、土地に関する調査、法令の許認可手続きなどにも従事。プライベートでは1歳の息子と休日ほとんどの時間を過ごす。子どもが大きくなったら、学生時代に打ち込んだヨットや海に遊びに行きたいと考えている。

Chapter1―現地には月3、4回足を運ぶ、地域に密着した業務―

今は岐阜県高山市奥飛騨温泉郷を中心に業務に取り組んでいます。主に、地熱発電事業に関わる業務と、同地域で活動している水力発電事業に関わる業務を行っています。

具体的に言うと、地熱発電では地熱資源調査といって、資源があるかどうかの調査や、温泉井掘削、井戸の構造、坑口装置、薬剤注入方法の検討を行い、地元に提案するなどです。水力発電の方では、水力発電に関わる環境調査、土地に関する調査、法令の許認可手続き等を行っています。

現地には月に3、4回は通って、打ち合わせをしたり、温泉組合の方から温泉給湯の配管の経路をヒアリングして資料を作成したりしていますね。奥飛騨は温泉を観光資源とした旅館街なので、「地熱発電なんてやると温泉が枯渇するんじゃないか?」という心配がまず浮かび上がります。なので、温泉への影響は少ないという説明をしっかりする必要がありました。
水力発電は、中部山岳公園の特別地域の中での活動なので、事前の環境調査など様々な報告が必要です。許認可手続きなども行います。私が入社した頃はちょうど奥飛騨のプロジェクトが始まったところだったので、案件の最初から現在までずっと携わっています。

Chapter2―「温泉に影響が出ては困る」という反対の声―

今のところ代表的な成果としては、2017年11月に運転開始した地熱を利用した「奥飛騨第1バイナリー発電所」ですね。温泉給湯事業への影響を気にされていたのと、地域の活性につながるような仕組みづくりについての合意形成、つまり地域の方に理解して頂くことに多くの時間がかかったなと思います。

この地域では、大規模な地熱発電所の構想があり、地元からは、温泉に影響が出たら…という不安や、反対の声もあり、地熱発電自体を敬遠している感じでした。地元の方の不安の払拭、そしてニーズは何なのか、時間をかけて協議していく中で、最終的に決まった 「バイナリー発電」 では、発電のために新たな掘削をせず、もともと給湯に使っている源泉を使用して発電し、電気と熱を作り出す、発電に使った熱(お湯)はまた温浴施設などに利用できる、というスキームに落ち着くことができました。

小規模な発電所であるが、それゆえに、掘削工事は不要、温泉水も無駄にすることなく、有効活用できるということで、地元の方々にも納得していただけました。「当社がやりたいからやる」ではなく、発電所誕生によって地域が活性し、地元にもメリットがあることじゃないと話は進まないと感じましたね。

また当時は、給湯経路についての情報が温泉組合の方の頭の中にしかなくて、実際に足を運び、自分の目で見て調べてみると違っていたりしたんですよね。何度も何度も通い、山の中を歩きながら、地道に現状調査をして資料を作成しました。時間とお金はかかりましたけど、そのおかげで、現地について地元の人より詳しくなっていましたね。それからは、地元の方に「こうしたいんだけど」と聞かれても、「それならこの方が効率いいですよ」と提案ができるようになり、信頼関係が築けたんだなと実感しました。

発電の流れ
温泉用井戸を利用したバイナリー発電のイメージ図

Chapter3―地元が活性化するような取り組みの推進を―

2017年に運転開始した奥飛騨第1バイナリー発電所

今後は、個人的には幅広い知識を持ちたいと考えています。自分で調べるだけでなく、掘削のことは掘削会社の人に聞いたり、水力開発のことは委託先の環境調査会社と同行して教えていただいたり、土地に関しては法律も絡むため土地家屋調査士に相談したりして、とにかく知識を増やすようにしています。そうやって建設関係や土木専門の方に一緒にやってもらっていますが、最終的に地元への説明は自身で行わなければならないわけで、コツコツ学んで幅広い知識を持ち、自然環境保全と開発事業とのバランス感を持った技術者になりたいと思っています。

奥飛騨に関しては温泉を観光資源とした旅館街ですから、バイナリー発電の導入により地元が活性化するような取り組みを推進していきたいですね。温泉組合としては、発電による売電収入の一部を源泉使用料として還元することで、温泉給湯料以外の収入が入ってくるのは、大きなメリットだと思うんです。旅館と温泉給湯の口数も減りつつあると聞いていますし、現地では高齢化が進んでいて、源泉管理者もほとんどが60代で、その息子さん達はやり方を知らないというのが現状なので、標準的な方策を作っておきたいと思っています。

東京支店から奥飛騨まで片道5時間かかるんですが、車内ではだいたい「奥飛騨活性化計画」の話ばかりしています。

諸事情で使用できなくなった温泉井の有効利用とか、温泉熱を利用して一年中山菜が採れるようにするとか、「水力発電の博物館」をつくったら集客できるんじゃないかとか、そんな話ばかりしています。長い移動時間も、有効利用できていると思います(笑)。

Why ?―シン・エナジーを選んだ理由―

大学では環境化学を専攻し、干潟で水をサンプリングして、研究、分析をしたりしていました。その頃ちょうどシン・エナジーが 再生可能エネルギー である地熱を利用した発電に取り組もうとしているところで、シン・エナジーの方から説明を受けた時にこれはおもしろそうだと興味を持って入社を決めました。

地熱発電業界では地質、火山、地震などを専門としている技術者が多いのですが、当社が行っている温泉熱を利用したバイナリー発電では、水質やスケール(湯の華)の付着などの課題が多いんです。ですから大学で学んだ知識も活かしながら、新たな分野を学ぶことができると感じていますね。今の部署は環境部門の技術者がおりますので、温泉資源の保護と資源の有効利用による地域活性のバランスについて考えることが多く、日々学ぶことができる環境にいると感じています。

One day schedule― ある1日のスケジュール ―

  • 午前

    朝礼後、発電所出力および温泉給湯温度のチェック、温泉井の坑口装置に関する説明資料作成。

  • 午後

    水力の許認可手続き確認を行う。

  • 夕方

    役所との保安林手続き打合せ用の資料を作成。

Career path-キャリアパス-

  • 2014年4月

    シン・エナジーに新卒入社
    クリーンエネルギー事業本部計画部調査課に配属

  • 2014年

    クリーンエネルギー事業本部地熱発電事業部に配属

  • 2015年

    電源開発本部環境部に配属
    電源開発本部地熱環境部に配属

  • 2016年

    電源開発本部地熱環境部主任に就任
    電源開発グループ地熱環境部に配属

  • 2017年

    電源開発グループ地熱環境部係長に就任

Future― これからの夢、目標 ―

高校3年間ヨット部に所属し、大学では大会運営や後輩指導にも関わっていました。でも結婚して子どもが出来てからは土日も時間がとれないので、ヨット関係のことはほとんどできていませんね。子どもはまだ1歳ですがもう少し大きくなったら、休日は家族で海に遊びに行ったり、大会運営や後輩指導にも行きたいなと思っています。