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社長の活動
2020.12.15 安房谷水力発電所が竣工しました

当社と地元企業の共同出資で設立した奥飛騨水力発電株式会社(本社:岐阜県高山市奥飛騨温泉郷、代表取締役社長:志田正雄)が開発した「安房谷水力発電所」が2020年12月15日に竣工し、寒風吹きすさぶ中、同発電所において竣工式を執り行いました。

岐阜県はわが国第一位の包蔵水力地であり、中でも水力発電に有利な諸条件を備えた奥飛騨温泉郷において、2015年より基礎調査・詳細調査を進めるとともに、「奥飛騨温泉郷小水力研究会」を創設し、地域住民・市の関係者・地元金融機関等を招いた勉強会や既設発電所の視察等を複数回実施して地域の理解を醸成し、2019年6月に安房谷水力発電所の建設に着手し、2020年11月末に完工しました。

本事業には、地元の金融機関である高山信用金庫、飛騨農業協同組合からの融資を受けました。

また本件は、2020年11月30日に当社と滋賀銀行と締結した「『しがぎん』サステナビリティ・リンク・ローン」にて設定したSDGsやESGに関連する事業挑戦目標のうち、「地域の事業体と共同で実施する再生可能エネルギーによる発電所の建設」の第1号案件となります。

■事業概要
発電所名:安房谷水力発電所
設置場所:岐阜県高山市奥飛騨温泉郷平湯字アカンダナ793-1
河川名:神通川水系高原川支川 安房谷
有効落差:70.0m
最大使用水量:1.110m3/s
最大発電出力:657kW
発電方式:流れ込み式
取水施設:既設砂防ダム利用(背面腹付・チロリアン取水)
水圧管路:強化プラスチック複合管(FRPM)埋設
発電所:地上式(制御室別設)
水車の種類:横軸フランシス水車
発電機の種類:三相誘導発電機
年間売電量:約3,275MWh(約1,000世帯分に相当)※電気事業連合会2015年データによる
売電先:中部電力パワーグリッド株式会社(全量FIT)
設備設計:シン・エナジー株式会社

■事業の特色
本発電所は全域が中部山岳国立公園第二種特別地域に含まれています。
国立公園は、すぐれた自然を守り、後世に伝えるべく「保護と利用」のバランスが常に問われます。
健全な国立公園は健全なコミュニティの存在が前提となります。
コミュニティが元気であれば国立公園としての価値も上がり、訪れる人々の満足度も向上するものと考えます。

本発電所は、同地域の水力資源を用いて地域の活性化及び国立公園の便益の向上に資する発電事業となることを目的としており、事業収益の一部を地域に還元し、これらの活動に利用いただきたいと考えています。
後続地点に関しても同様、下記コンセプトに基づいて事業収益を地域に還元する事業スキーム(地域振興基金,事業収益の過半を地元へ配当等)を有しており、地域の活性化に貢献していきます。

【奥飛騨における地域貢献型水力開発の基本コンセプト】
1.  地元企業との連携により地域事業会社を創設(地元出資51%以上)
2.  地元産業(調査工事・土木建築工事・金融等)の優先活用
3.  売電収益の一部を「地域振興基金」として地域に還元
一定額を20年間にわたり、地元に拠出(公園整備・文化活動支援)
4.  複数地点を対象とした逐次開発(地域一貫開発)

【奥飛騨温泉郷(開発出力:3地点1,899kW)】
▼地域経済への裨益効果(20年間)
35.5億円(地元負担再エネ賦課金の2.6倍)
▼電力自給率の効果
電力自給率:45.3%(一般世帯及び宿泊設備)
▼環境保全等への貢献
地域振興基金は国立公園整備、地域文化活動等に利用
▼行政施策との貢献
県:水力開発目標の45%達成、市:再エネ開発目標の13%達成

当社は、地域の方々と共同して水力開発の適正ルールを遵守した水力開発を推進することで乱開発を防止するとともに、「植民地型開発」から地域のための「地域貢献型開発」への転換を図ってまいります。

プレスリリース(PDF)

 

発電機器
チェコ製 横軸フランシス水車
水槽から取水堰堤
チロリアン取水口

 

現地でススキの種子を採取
ススキを簡易ハウスで栽培
育てた苗を配管工事後に植栽し原状復帰を図る

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